巨星 柘恭一郎氏 逝去

▲昭和25年 本社前の柘恭一郎氏



▲1980年初頭には、スイスのジュネーブにあるダビドフ本店のウインドウに、ツゲ・イケバナが日の丸の国旗と共にディスプレイされた。最新技術を使用し、品質高く作られていたツゲのパイプは、諸外国でも愛されている。



柘製作所創業者である、柘恭一郎氏が、百歳の天寿を全うされた。
平成22年11月2日火曜日の午前のことだ。

恭一郎氏は、明治44年に金沢にて生を受ける。
12歳のころから職人として象牙の製品を作り続け、昭和11年柘製作所を設立した。それから74年余り、昭和の激動期をくぐりぬけ、柘製作所は世界の名だたるパイプの職人集団としての地位を確立する。

以前、私に祝い事があったとき、恭一郎氏が作られた貴重な箸をいただいた。
その時に氏に伺った話だ。
「この箸は、親から子、そして孫まで、ずっと代々つかえるものだよ。日用品として、使って欲しい。」
もう現在では、作ることが難しい貴重な品物をいただき、今回改めて、眺めてみた。
箸には、恭一郎氏の柘製作所に対する、考えが詰まっているように感じる。
時は、昭和のバブル。虚構に踊り浮かれていた時代にあって、恭一郎氏は世の中の動きに動じず、職人の堅実さを持って社屋を増やし、着実に運営することだけに力を注いだ。
その甲斐あって、バブルが弾けて消えていった企業とは一線を画した経営方針によって、会社は成長を続けてきた。

百年企業という言葉がある。
一般に企業の生命は、数十年だと言われている。その中で、百年以上生き残る企業の条件は、堅く誠実に商売を続けることだ。恭一郎氏の教えに従い、柘製作所も近い将来、その仲間入りを果たすだろう。

決して奢らず、生涯一職人の精神を持ち続ける経営者であり続けた、柘恭一郎氏の生き様は、これからの柘製作所を継ぐものにとって、極星のごとく未来を照らしていく。

安らかにお休みください。


合掌
(ヒロ嶋田)



世界に羽ばたくTSUGEブランド イケバナシリーズ

柘製作所の職人福田和弘が作り出す、フリーハンドパイプ。
14歳で柘製作所の職人としてパイプ製作に携わり、1977年、シックステン・イヴァルソンの工房で修行、
フリーハンドのデンマーク作家パイプの真髄を学ぶ。

現在、柘製作所が誇れる作品として世界中のパイプコレクターに愛されている。
製作本数は年間約250本、主な輸出先にアメリカ、ヨーロッパ諸国、中国、ロシアがある。

世界でたった一人、このイケバナを作ることができる職人福田和弘氏は、
『スペシャル傑作選 世界を変える100人の日本人!(2010年4月9日(金)放送、TV東京系列)』でも取り上げられた。


▲独特の形状が特徴のイケバナ・メビウスリング
イケバナ メビウスリング

数学者であり教育者でもある秋山仁先生、富良野在住のガラス工芸作家山口一城先生と柘恭三郎が、原宿の割烹料理屋で会食中に生まれたモデル。
その中でメビウスの輪の話題になり、柘恭三郎がパイプのシェイプとして作ってみたいと提案したのが始まりであった。

▲ヘッド部分が蛇の頭のように膨らんだイケバナ コブラ
イケバナ コブラ

ボウルの正面から見た張りがコブラの頭に似ているので命名されたシェイプ。このパイプはブライヤーのラフを正面ボールトップからボウル底面、シャンクエンドまで続いている。パイプをひっくり返してみると中世ヨーロッパの騎士のヘルメットの飾りように見える。

▲短時間でパイプスモーキングを楽しむためのイケバナ フェザーウェイト モーニング・グローリー

イケバナ フェザーウェイト モーニング・グローリー

刻み幅の細かいスモーキングたばこの日常使いに最適。朝起き掛けの一服!爽やかな朝に、フルなイングリッシュミックスチャーや、香料の効いたたばこを短時間で楽しむイケバナ。刻み幅に特定されないがストレートヴァージニアにも適している。

▲富士山をイメージして作られた イケバナ マウントフジ
イケバナ マウントフジ

霊峰富士をモチーフとして作られた。ボウルの底面はブライヤーのラフを残し、富士の溶岩を表した。ブライヤーの木目は富士の稜線に沿って立ち上がっていく。富士の岩場の荒々しい様が、パイプの中に景色として見えてくる。柘製作所の代表的なシェイプの1つ。
イケバナは全て個別のハンドメイドです。
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