北方謙三先生インタビュー 2

北方先生 「史進は強すぎた。そして、やがて自分が本当に強いのか、たとえば孤立することも強いのか、孤立も恐れない、それは強いということか。
そうではない、やはり人と暮らしているならば、きちんと人と手を結べる、手をつなげる、連帯できる、弱いものの気持ちも理解してやれる。
そういういろんな人間を理解するのが本当の強さなんだよ、というの王進が教えたんです。
まあ、原典に王進なんてのは最初にちょこっと出てくるだけなんですよね。」
インタビュアー 「そうですよね、お母さんを背負って消えていく。読んでも読んでもその後は出てこないですよね。」
北方先生 「(笑)。」
インタビュアー 「ホント、最後まで出てこない。」
北方先生 「(笑)あれはね、水滸後伝には出てくるんですよ。」
インタビュアー 「鮑旭(ほうきょく)のエピソードも出色ですよね。王進のお母さんに自分の名前の字を教えてもらって書けるようになる。あれほどモラルもへったくれもなかった喪門神(そうもんしん)鮑旭が変わっていく。あのエピソードの最後がたった一文、『母はほめてくれるだろう』というのは胸に来ました。」
北方先生 「鮑旭というのはね、原典では最後の方にちょっとだけ出てくるんです。『援軍を率いてきた、喪門神が来た』というふうにね.
それだけで鮑旭のそれまでの生き方も人生も書かれていないんです。

インタビュアー 「そうなんですか。」
北方先生 「原典の中できちんと描かれている人物は10人くらい。その10人くらいは妖しい魅力を持っていますよ。ところが後の100人近くは人数あわせみたいなところがある。」
インタビュアー 「人数合わせですか。」
北方先生 「僕もね、水滸伝が非常に好きで、最初に読んだのは中学三年生だったかな、原典でね。それからテレビがはじまったよね、中村敦夫とか、土田早苗とか。土田早苗が扈三娘(こさんじょう)やってたんだよね。ところが原典とも随分違うじゃないか、って。」
インタビュアー 「違いますよね。あおい輝彦さんが九紋龍の史進でした。」
北方先生 「中村敦夫さんが二役だったよね。
鮑旭という人間もね、最初はただの盗人だったわけですよ。盗人は盗人なりに理がある。つかまらなきゃいいんだ、つかまったら殺されていいから、つかまらなきゃ盗んでいいんだ。そういう価値観の中でしか育ってこれなかった人間なんですよ、そういったね、人間をね、もう一度母親の胎内に戻す。それが子午山ですよ。」

北方先生 「そこで、なんだかんだ言ってもきちんとご飯を食べさせてもらえる、例えばストライキやってもご飯を食べさせてもらえる、さからおうとしてもご飯を食べさせてもらえる、逃げようとしたら逃げられる。逃げられるかもしれないけれど、どうも王進の目が怖くて逃げられない。で、畑を耕す。で、お母さんが字を教えてくれる。「あなたの名前くらいきちんと書きなさい。」って、きちんと鮑旭と教えてくれる。
農耕途中で地面にそれを書いてみる。
たどたどしく書いてみる。
そのときに人間に戻るんですよ。
そういうね、人間に戻る話しを書いたんです。」
インタビュアー 「そのエピソードは、今までの水滸伝には出てきませんよね。。」
北方先生 「(笑)出てきません。」
インタビュアー 「あのエピソードは大変胸をうつエピソードで、あれを読んでいたら、子どもの頃史進ではなく、鮑旭のファンになっていたかもしれません。」

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