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北方謙三先生インタビュー

明けましておめでとうございます!
2011年のシガーダイレクトは、シガーもシステムも企画も大きくグレードアップ!
その改革を名づけて”レボリューション!シガーダイレクト!”。
その第一弾にふさわしく、北方謙三先生のインタビューをお届けします!
※インタビュー最後にプレゼントのお知らせ等のお正月スペシャル企画があります。どうぞお楽しみください!

撮影=Takashi Arai 公式サイトはこちら>>>
北方 謙三先生 略歴
北方謙三先生 略歴 昭和22(1947)年、佐賀県唐津市生れ。47年中央大学法学部卒。58年「眠りなき夜」で第1回日本冒険小説協会大賞、第4回吉川英治文学新人賞、平成3年「破軍の星」で第4回柴田錬三郎賞、16年「楊家将」で第38回吉川英治文学賞、18年「水滸伝」で第9回司馬遼太郎賞、19年「独り群せず」で第1回舟橋聖一文学賞、22年第13回日本ミステリー文学大賞を受賞

北方謙三先生 公式サイトはこちら>>>

1)『レボリューション・シガーダイレクト』のオープニングは北方謙三先生に!
―お久しぶりです。本日はありがとうございます。
北方謙三先生
▲インタビューは和やかに始まった
北方謙三先生(以下北方先生)  よろしく。
―最初にシマジさんからの伝言ですが、「今年はあれに挑戦するぞ」と伝えてくれ、とのことでした。
北方先生  この間、サロン・ド・シマジに行ったときに、俺が「挑戦したほうがいい」って言ったんだよ。もちろん、これはまだ伏せておいてくれよ。
―了解しました。今年シガーダイレクトは『レボリューション・シガーダイレクト』というプロジェクトを組んで、大きな改革をします。
北方先生  ほう
―2006年にシガーダイレクトが復活したときの最初、オープニングが北方先生でした。 そこで今回、私たちが本気でやる革命のオープニングでふさわしい人は誰かを考えたときに、北方先生以外には考えられなかったのでお願いしたわけです。
北方先生  ありがとう。

2)『杖下に死す』はキューバ革命?ゲバラとカストロ?
北方謙三先生インタビュー

水滸伝とキューバ革命
▲司馬遼太郎賞を受賞した、北方先生の『水滸伝』・・・ モデルは実は!?


北方謙三先生
▲「実際に世界で革命が起きているんだ、という
のは実感としてありましたね。」


キューバ革命博物館に展示されているグランマ号
▲キューバの革命博物館にあるグランマ号
―さて、今日は『杖下に死す』、文庫化されたばかりの続編『独り群せず』についてお聞きし、北方先生の魅力に一歩でも迫りたいと思います。よく先生の『水滸伝』、『三国志』にスポットがあたりますが、こんな魅力的な作品が他にもあることをご紹介したいと思っています。
北方先生  フフ。
―この2作品を選んだのには、2つの理由があります。
この「独り群せず」は今年文庫化された近著であることが理由の1番目です。
そして「杖下に死す」の帯にもう一つの理由がありました。
北方先生  何て書いてあったっけ?
―「幕末前夜、商都・大阪、救民への情熱と、二人の漢の絆」です。私は「これはひょっとしてキューバ革命がモチーフで、カストロとゲバラではないか」とおめでたい誤解をしてしまいました。読んで違うのに気づいたんですが。
(※北方先生がキューバに最初に行ったときの話は有名。詳細はこちらから>>>)
北方先生  フッフッフ。実は水滸伝がカストロとゲバラなんです。
―えー!そうなんですか?!
北方先生  晁蓋(ちょうがい)という棟梁がいて、それがゲバラ。早めに死んでしまうんだよね。宋江(そうこう)がカストロ。梁山泊がキューバ島。周りの宋がアメリカなんだ
―なるほど!ただ、キューバで革命が起こった、とか人が蜂起したとか、そういうことが『杖下に死す』にもどこか影響があるんじゃないか、と思ってしまいます。
北方先生  キューバ革命というのは、1959年に起きているんですよね。わずかな人数で上陸して、少しずつ仲間を集めてバチスタの政権を倒した。バチスタはアメリカが後援していた。だから局地的にはアメリカを倒した、と言っていいんだろうけど、それが僕が小学校の高学年だった頃なんですよ。
―ホントにリアル・タイムですよね。
北方先生  うん。実際に世界で革命が起きているんだ、というのは実感としてありましたね。大人たちの話でもよく出ていたし。
―そういう体験が影響を与えた、ということでしょうか。
北方先生  それは自己形成に影響を与えるということはあったと思いますね。大学になったときに、「革命なんて起きるわけないじゃん」とか言ってたヤツもいたけど、「現にキューバで起きてるじゃないか」って思ったもんなあ。
―それは人の力、パワーのようなものを意識したということでしょうか。
北方先生  最終的にはそうだよね。人の力。でも時代の流れみたいなものも必要なんだよね。
―私たちも今年の2月にキューバに行きました。そのときに、カストロやゲバラが乗ってキューバへ上陸した船、グランマ号を見ました。小さな船でしたので、なんだか驚きました。これが革命を起こすオープニングを飾ったのか、という感じで。
(※2010年2月の「リアル・シガー・ツアー!」 詳細はこちらから>>>
北方先生  ある程度は準備はできていたんだけどね。
最終的にはあの船でキューバに上陸できたのは、12人だからねえ。

3)成熟しきれない何かがある
北方謙三先生インタビュー
▲本日のシガー パルタガス セリーDNo.4

パルタガス セリーDNo.4
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北方謙三先生インタビュー
▲北方先生の原稿は万年筆で

北方謙三先生インタビュー


北方謙三先生インタビュー
▲スタッフもインタビューに熱がこもります

北方謙三先生インタビュー
―「杖下に死す」「独り群せず」は連作です。私は最初に「独り群せず」の方を読んでしまいました。
北方先生  (笑)。順番通りに読んでください。
―『杖下に死す』を読んだときに、そう実感しました。
この2作品は順番通りに読むことをお勧めします。
この2作品の執筆の間には3年の年月があります。
杖下に死す」の執筆時には、すでに「独り群せず」の構想はあったんでしょうか。
北方先生  それはあったよ。
―もうすでに『書こう!』と?
北方先生  『杖下に死す』で光武利之が使った刀は・・・。
―水心子正秀(すいしんしまさひで)ですね。
北方先生  そう。あれを淀川に捨てるんです。でも、それで剣を捨てられるのか。剣をきちんと身につけた人間が捨てることができるのか?ということも最初からテーマの一つであったんだよ。
―深いですねえ!
北方先生  剣が活人剣にならないのか。そこで料理ですよね。
杖下に死す』は殺人剣です。これが活人剣になったときにどう変るのか。
たとえばスパーンと鯛の頭を断ち割ったとしても、柳の木のまな板に一筋も傷がつかない。そういう手際でおいしいものが作れる。おいしいものが作れるのは生命に直結しているんだよ。そんな生命に直結する活人剣を考えたんだけど、どうしても何かに巻き込まれて斬らざるをえなくなる。
『殺』と『活』は表裏一体なんですよ。
―『杖下に死す』は死ぬことにスポットが当たっているのに対し、『独り群せず』は生きることにスポットが当ってますよね。最終的には希望。今のお話を聞いて、それがよくわかりました。
北方先生  僕はね、剣豪小説を書くときは『コマ』を書きたいんですよ。
―コマですか?
北方先生  コマはね、回すと静止したように見えますよね。ピタッと静止しているように見える。この、静止しているときほど回っているんです。回転力が弱まってくるとブレて、コマは倒れてしまう。
剣を持ったときはコマが回っているときと同じ。静であって、動である。
―2作品の中で、気になる箇所、胸にしみいる箇所をチェックしながら読みました。斜に構えたような主人公光武利之が、人生に思いを馳せ、ときに迷い悩む。そういう青春の挫折、悩みはシガーダイレクトのサポーターの方たちにもすごくリアルなんじゃないか、共感を呼ぶのではないかと思います。
北方先生  (パルタガスに火をつけながら)フフ。
―対して2冊目『独り群せず』は主人公が成熟しています。確立された生き方が描いてある。その対比があるように思います。
北方先生  同じ人間なんですが、時間が経っている。その中で様々な経験をしているはずです。その中で男というのは成熟していく。でも、成熟しきれない何かがあるんで、剣戟をやってしまう。
―そのシーンに行くまでは・・・
北方先生  料理小説だよね、フフフ。
―その積み重ねがあるから、クライマックスの剣のシーンが最大限活きてくるんでしょうね。
北方先生  フフ。
―「別れということを想像すると、自分が耐えられるかどうか、自信がなかった。」という表現が『杖下に死す』でされていました。その疑問の解答がちゃんと「独り群せず」にあるんですよね。「お藤」という新しいキャラクター。彼女との新しい人生にさらにイノベーションしていくんだろうな、と希望が生まれている。そんな形で読者に提示されていました。

4)どう生きて、どう死ぬべきか、ではない
北方先生  剣を極めた人間が剣を捨て、老境を迎えたときにどうなるのか? それに関心がありましたね。 北方謙三先生インタビュー


北方謙三先生インタビュー


北方謙三先生インタビュー


北方謙三先生インタビュー
―剣を極めた人の話は、浮世の話とは違うところに行くようなイメージですが、そう描かれていませんよね。市井の生活の中にちゃんといます。
北方先生  浮世の中にいるべきでしょう。剣を極めるまではね、違うところにいるかもしれないけど、極めたら普通の人です。
―そういう意味では、自分の人生に真摯に向き合っている感じがしました。
北方先生  僕は別として(笑)、作品の主人公は真摯に向き合ってますよ。特にこの作品に関しては、人をいっぱい殺しているわけだからね。「殺すということはどういうことなのか」を含めながら料理しているんです。料理というのはしめて血を抜いて殺すわけだから。だけど、殺すことが生きることにつながっているというこがショックだよね。
そうすると、普通の人間になるべきなんだよね。なろうとしている。いや、あるいはなっている。なっているけれどもどこか違う。それはやっぱりね、人を斬っているからですよ。
―ビジネスで言うなら、ビジネスで戦う"プロフェッショナル"とでも言う人が、普通の生活から離れたところにいるのは違う、というように聞こえます。
北方先生  普通の生活から離れるべきではないと思います。
―その中で「友だちとめしを食う。そんな余裕もない人生は、つまらんではないか」と光武利之のようにさらりと言ってみたいですね。
大塩平八郎の乱をよくある歴史ものとして描くなら、時系列で詳細に追いかけていくと思いますが、『杖下に死す』はそうではありません。まず主人公が当事者ではない。市井の生活を送りながら悩んでしまう。
北方先生  光武利之は私が創造した人物です。嫡男ではない。さらに正室の子ではなく、わき腹。弟がいて、こちらは正室の子。父親がいる。この二人は実在する人間です。
―ここまでじわじわと描かれてきただけに、乱の展開は、まるで読者も伝聞を聞いているかのようにせつない思いを募らせることだと思います。
それと、普通なら乱が終わった段階で結末だと思うんですが、そうなりません。ここから主人公が気持ちに折り合いをつけ、新しい生き方を見つけようともがく姿を描くことで『杖下に死す』が名作になったんじゃないかと思います。
私も含め、シガーダイレクトのお客様はどう生き、どう死ぬべきか、から離れられない世代のはずですから、同じようにこの作品は感慨深いものではないかと思います。あの余韻がせつなくて素晴らしい。
北方先生  そうですよね。そこが問題なんです。実はどう生きて、どう死ぬべきか、ではないんです。どう生きるか、それだけを考えるんです。どう生きるか、だけを考えたらいいんです。どう生きるか、を考えてたら、その人間の死に方はちゃんとするんです。どう生きるかを考えていないから、ちゃんと死ねないんです。
―それは頭の中に常に入れておく課題でしょうか。『杖下に死す』の大塩格之助の生き方が、光武、内山彦次郎の中で長く時間をかけて発酵しているとも思いました。
北方先生  生きる思想の根本じゃないかな。元々あるべきもので、見失っている人が多いと思います。

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『杖下に死す』
米不足で深刻化する商都・大坂。江戸からやってきた剣豪、光武利之は、この地でひとりの友を得る。私塾「洗心洞」を主宰する大塩平八郎の息子、格之助。救民を掲げて先鋭化する大塩一党、背後に見え隠れする幕閣内の政争。時代の奔流はふたりの男を飲み込み、いままさに幕末への扉を開こうとしている。胸奥を揺さぶる男の友情、幕末前夜を描く歴史物語。
『独り群せず』
大塩の乱から二十余年。剣を揮う手に庖丁をもちかえ、既に船場の料亭「三願」からも隠居を決め込んだ利之だが、乱世の相は商都・大坂にも顕われ始め、時代の奔流が、穏やかに暮らす利之を放ってはおかなかった…。信念に基づき命を賭す男たち。『杖下に死す』の続編となる歴史長編。舟橋聖一文学賞受賞作。


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