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【3】「終身名誉会員」で見る英国のMen's Club

Ｍ氏　どんな話ですか？

シマジ会長　代々続いた由緒正しい財閥の御曹子の話だ。沙高樓というところに集まった一癖ある上流階級の連中が、誰にも言えない話をするんだ。
普通じゃ経験できないようなとんでもない話を。
その御曹子の場合は、代々続いた莫大な財産を相續するわけだ。
そしてほとぼりをさますために、日本を離れ、ロンドンの由緒正しいホテルで過ごし、あるきっかけで英国伝統のMen's Clubで遊ぶ。
そんなところは食事はうまいし、酒も葉巻も最高のものがあるわけだ。さらにカジノまであって・・・という話だが、やはり英国の金持ちはスケールが違うよ。

Ｍ氏　大英帝国の伝統ですかね。そうすると、ハバノスSAが、葉巻のグレードを分けて、一番いいものからスイスやイギリスにまわし、ようやく最後に残ったものをアジアに回すという噂も本当だって気がします。

シマジ会長　そうであっても仕方ないんじゃないかな、シガーの歴史が違うんだから。

Ｍ氏　アジアには最高レベルのものは来ないですかね？ショップに並んでいるシガーは世界の余りもんなのかなあ。

【4】ボンドストリートの葉巻屋の親父はとっておきを隠していた

シマジ会長　昔ロンドンのボンドストリートにしばらくいたことがあって、葉巻屋の親父と仲良くなったんだ。
もちろん仲良くなるまでに相当そこに通いつめたけど（笑）。
浅田次郎先生の「終身名誉会員」じゃないけど、ある日その親父が「実はこういうのがある」と言いながら、うやうやしくシガーの箱を持ってきたんだ。

Ｍ氏　とっておきのヒュミドールを隠してたんですね？

シマジ会長　それが全部ビンテージなんだよ。10年は熟成させたものばかりです、なんて顔しながら持ってきやがったんだ。

Ｍ氏　羊の群の中に狼を放つようなもんですね（笑）。

シマジ会長　そうなんだよ。我慢なんかできるわけがないだろ？それに親父もそこまで俺のことをわかってくれたんだ、買って吸ったよ。そして思ったよ。ロドンに流通しているハバナ・シガーは最高だ、って。

Ｍ氏　確か、そんなお店に出入りするような英国の貴族の家にも行ったんですよね？

【5】英国の貴族の優雅さに見た文化の重厚さ

▲荘園での貴族の邸宅がマナーハウス

シマジ会長　スコットランドのロバート・トーマスのマナー・ハウスだろ？

－　マナー・ハウスって何ですか？

シマジ会長　貴族が田舎に所有している荘園だな、家があるんだ。４日間いたんだけど、英国の貴族の桁はずれ具合に驚いたよ。敷地だけで東京の中央区ぐらいなんだよ。

－　えー！敷地の中で迷子になりますね。

シマジ会長　（笑）。敷地の中を、海に注いでいる川が流れているし、大きな池で釣りができるし、小高い山も幾つもあって、深い森に覆われている。

－　なんか自分の生活が寂しくなってきました。

シマジ会長　一緒にゴルフするだろ？そうするとパターが木なんだよ。俺はYONEXの最新のヤツだった。
「日本から最新のゴルフクラブをフルセット送ります」ってプレゼントしようとしたら、「いらない」って言うんだな。聞くと、そのパターは100年前のもの、お祖父さんの遺品だったんだ。古色蒼然としている。ヒッコリーなんだよ。
勝とう、って気もない。愉しむためのゴルフだから。ああ、これが貴族なんだと思ったよ。

－　勝負に血道をあげないんですね。

シマジ会長　その代わり、若いヤツを見つけて、そいつを応援するんだ。リー・ウェストウッドみたいなね。
こういうのがスポーツや芸術の世界の一流を支えるんだよ。そういう風に文化を支えて、あたかも自分が活躍している気分になる。金の使い方と文化の厚みが違うんだよ。優雅だよなあ。

－　日本ではなぜそうならなかったんでしょうかね。

シマジ会長　日本は戦後民主主義の名のもとに相続税とかでどんどん平らにする方向にいっちゃったからなあ。「みんな平等」という考え方と文化とは相容れないんだよ。

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